■ Ino.56 猫と歌と四季の島
のんびりする島だよ。
STATS
6人 / 人数
サバイバル / 難易度
スモール / 広さ
■ チャットとメッセージ
ゲーム中はチャットはALLと同じ表示がされ、またメッセージは公開されません。
エピローグ期間に入り次第チャットは通常公開され、メッセージはゲーム終了後に通常公開されます。
ワカは写真を撮りました!カシャッ

ハルカが好きな空
「ああ……
本当だ。すごいな。
不思議で──」
「……ほら、言った通りでしょ!ワカくん。
すごいと思わない?……綺麗だよね。
すぐに真っ暗になっちゃう、今だけの色。
魔法みたいな、紫色。
不思議で、わくわくして、ドキドキする。
ワカくんにも、伝わってると……うれしいな」
混ざりあった光に照らされて。
どうかな、って。笑って見せた。
「うん。そうだといいな……」
真水の入ったボトルを
ハルカに渡したりしながら、
少年はまた、空を見た。
海と空の境界線へ、黄色い太陽が沈んでゆく。
「……もうすぐかな」
空に浮かんでいる雲が、
橙や紫、青……それらが混ざったような、
不思議な色に染まりはじめていて。
少年にとってはこんなふうに、
ちゃんと色がわかる空が珍しいから。
段々色が変わってゆく様子を
眩しそうに眺めている。
「だ、だって。ご馳走食べたばっかりだもん……
テト先輩の料理、ホントに美味しかったし」
くすくす、と口元に手を当てて一緒に笑って。
「……これからもっとわかるようになるよ。
き……こほん。日本のご飯はね、とっても美味しいから」
こくん、と分けられた携帯食料を飲み込んで。
お水が欲しくなるね、と笑った。
「おいしいって思ってない顔……」
ぷは、と小さく噴き出して。
自身の口もとについたかけらを払いながら。
「前はさ。
美味しいとは思ってなかったけど、
不味いとも別に思ってなかったんだ。
けど、この数日で。
ちょっとわかったかも……」
いつもの味だけど、前より美味しくないかも。
なんて、また小さくわらって。
「……いままでありがとう。
最後のひとつが、お土産になってよかった」
空になった包装に視線を落としてそう言って、
ポケットに仕舞いました。
「……もきゅもきゅ。おいひい」
何か……サラダ味ってついてる全然サラダの味しない食べ物の味がする!
「うーん
いつもの味……」
Eno.8:ワカとEno.275:春原遥は固形食料(野菜味)を食べている。
「いいんだよ。
ずっと持ってても仕方がないだろ?
贅沢、なら良かったんだけど。
ハルカがどう思うかはわからないな」
くっついて覗き込んでくるハルカに
よく見えるように、包装を外して。
真ん中から折ってふたつに分ける。
「先に言っておくけど……
ハルカが好きなピザや甘いの(甘いの)と
違って、おいしくないからな。
無理だったら残してもいいから。
ちなみにコレは野菜味だったと思う」
そう言いながら、半分渡す。
これを食べてみたならば……
見た目が似ている食品とは全く違い、
ほとんど味がしない(野菜の味もほぼしない)し
もそもそしていて水分奪い度が非常に高く、
お世辞にも美味しいとは言い辛いだろう。
栄養が豊富です。
けれど、すぐに気を取り直して。
「……ふふ、未来からの、最後のお土産?
他の人には、内緒だね!ふたりだけの贅沢だ」
こくん、と小さく頷いて。
ぴょこ、と一歩ワカくんに近づいた。
肩が触れる。
「あっ、あっ!あ~……
よ、良かったの?ワカくん……」
一個しかない固形食料。
ないしょの未来アイテム。
その包装が、目の前で開けられてしまって。
なんか勿体ない……みたいな顔になってしまった。
「……」
「気に入るなよ…」
こっちとしては悪いなと思ってるのにい。
別に変な意味で使ってたのでもなし、
いいといえばいいんだけど。
さておき。
少年が取り出したのは、
片手に収まるくらいの大きさの、
まっ白いビニールで包装された何かだ。
「これ、俺が言ってた固形食料。
ここへ来た時から持ってたんだ。
ひとつしかないから、皆には内緒。」
少し声をひそめて。
多分大丈夫のはず、なんて言いながら、
包装を開けてみる。
「うん、何でもないな……
これを、ハルカさえ良ければ。
分けて食べたいなって、思ったんだ。
……最後の、お土産」
白い包装の中にあったのは、
某メイトに似た焼き菓子のような食べ物だ。
見た感じは本当に普通で忌避感はないだろう。
栄養が豊富です。
「そうなの?あたし、ちょっと気に入ってたのに」
当の本人は面白がっていたようで。
もう使われないという事実に少しだけ残念そうで。
けれど、やっぱり帰った先の日常でも使われるのは、間違いが無さそう。
「ん、いいよ。あたしに手伝える事なら、何でも!」
何をするのかはわからないけれど。
ワカくんが手伝って欲しいって言うなら。
「これからは旧とは呼ばないからさ……
一応、申し訳ないなとも思ってたし。
そういう呼び方だっただけで、
それ以上の意味はなかったし」
でも区別に便利だから使ってしまいそう。
あと、皆からはしばらく使われそう。
今みたいに。
「ええと、それで……
ハルカに手伝って欲しい事があって。
……俺が、ちゃんと。
俺の居場所だったところに……
お別れをできるように」
空はまだ、多分……
もうちょっと待ってくれるだろう。
いちばん良い景色になるまえに、
話したいことを済ませよう。
「……うん、きっと。
ほら、空が段々赤みを帯びてきたでしょう」
太陽が遠くなる度に、赤色が空から跳ね返って。
船上の二人を彩ってくれるなら。
あるいは、ほんの一瞬の色を、見せてくれるかもしれない。
「……トウヤさんのところに?
そっか…………」
わずかに緊張が解けるように、
ほうと胸を撫でおろして。
よかった、と小さく呟いた。
「……じゃあ、これからは。
同じ旧文明人だね!」
「……今日は、
ハルカが言っていた空を見られるかな」
空の色が段々暗くなってくるから
少しの期待をしながら、立ち止まって。
二人で並んで、空を見る。
「報告しないといけないことがあってさ。
……トウヤ達に、
連れて行って貰えるように頼んだんだ。
そういうつもりでいてくれたから……
俺の返事が遅かっただけなんだけど。
テトとユエにも、後で言わなきゃ。
特にテトは気に掛けてくれていたし……」
繋いだ手は離さないまま。
──できることなら、これからも。
「……だから。
ハルカとした約束を、守れるよ。
預かったものを渡すのも、どこかへ行くのも。
まだ聞きたいことがあるなら、それも」
「?うん。……なになに?」
最初は驚いたりしていたけれど。
なんだかワカくんに手を引かれるのにも随分慣れてしまった。今では、安心するくらいに。
今日は雨でも曇りでもない。
沈みかけの太陽がちょっとだけ眩しい。
Eno.111:お助け魔人のマジ子さんは船に乗りました。
Eno.224:御園 冬弥は船に乗りました。
「ハルカ。こっちへ」
もちもち応えてくれたハルカの手を
当たり前みたいな顔で握って、
船の上、島側ではなく海が見える方へ
手を引いて連れて行く。
空と凪の海が果てしなく続いて、
太陽はもうすぐ、眠る時間だろうか。
上空に薄ら星が見え始めている。
「どしたのワカくん」
もちもち。
「ハルカ~」
もちもちやってきたね。
なつき度が高い者が……
Eno.8:ワカは船に乗りました。