RECORD
変わりゆく。
「── 何度だって言います」
「私も、誠さんが大好きです」
境界線を越えて引き込んだ。
今は二人、隣で手を繋いでいる。
決して幸せだけじゃないだろうけれど、それでも……二人ならば。
きっと、二人だけの答えを見つけられるだろうか。
幸福も破滅も、結局は人の手で築くもの。
────そうであるならば、そうなのだろう。
夕焼けに染まる森の中。
季節外れの春風が吹き抜けた。
────誠に告白して数日が経った。
結果的に言えば、大きく生活が変わったと言うわけではない。
割と今まで通り、彼と接することが出来ている。
逆を言えば、今までずっと近い距離感でやって来たんだなと気付かされ、少々苦笑いしてしまった。
変わったことと言えば、心の距離感が近くなったというか。
遠慮せずに、彼に話しかけられるようになった気がする。
相手も自分が好きだと分かっているだけでこうも変わるものなのかと、少々戸惑いはあるけれど。
身に余るくらい、幸せな時間を過ごさせてもらっている。
私は復讐者だ。
どう足掻いても、それは変わる事はない。
いつかこの世界を離れ、彼との別れが来る事も十分承知している。
だから本当は、片想いで終わらせるつもりだった。
けれど、ここで出会った人々が。
私の気持ちを少しずつ、変えてくれた。
『誰でも幸せになる権利はある』
幸せを拒む私に、そう言ってくれた友人が居た。
>>2083758
「じゃあ"ソレ"でいいじゃん。
――いやあ良かった。修羅道にる素振りを見せたら相打ち覚悟で誅殺しようと考えてたんだ。
人を捨てた悪鬼羅刹のアヤメを2-1へ解き放ちたくなかったからね」
これも本気か虚言かは判断できかねるだろう。
そのまま歩みを止めず、貴方の少し前で停止する。
「それに考え方次第さ。
『受け入れれば楽だなあ』なんて受け身じゃあ駄目だ。
『受け入れたけど、どうかな』これでいこう
その方が絶対に楽だし、何より好転する気がするよ」
→
変化を恐れる私の、背中を押してくれた友人が居た。
>>2207638
「………」
「いつか別れが来ることがわかってて、
だとしても今いる自分が確かであるなら…」
「楽しかった時が、楽しかった時のままで終われるように…
一緒にいた時間が、いいものだったな、楽しかったな、
ってさ、思ってさ」
「……そうして想い出にして残ってけばいいんだって」
「……」
「オーナーの受け売りなんだけどさ。
オーナーも、誰かと別れたことがあったみたいでさ」
「だったら―――」
「―――永遠の恋である必要なんて、ないんじゃない?」
「いつか別れる前提かもしれないけど、
それでも一緒にいた時間がいいものだった、ってさ、
そう思えるような想い出ができたんだったら」
「……それもいいかな、って思うよ」
自分らしくない言い方だけどさ、と。
恋を否定する私に、永遠のものでなくて良いと言ってくれた友人が居た。
この地で出来た、多くの友人に支えられて。
私は、復讐者でしかなかった私は──大きく変われたと思っている。
復讐をやめる気はない。
それを果たさねば、真の意味で終わりを迎えることが出来ない。
まだ、私の戦いは終わってはいない。
けれど、この地にいる間だけは。
優しい友人たちがいる、この世界にいる間だけは。
平和を、平穏を、楽しみを、恋を────。
──幸せを、噛み締めたいと思う。


