「では、拙者はこれにて港へ向かおうと思いまする。
　皆様方、誠お世話になり申しました」

「次なる縁にて、再び見えるとござりましょう」

そう言えば、席を立って。
グルリと酒場を見回した後、深く巨躯の状態を折った。
幾許かの間の後、再び上体を持ち上げて。

男の足は港へ。此度の幕を引いたのであった。

「知り得てござりますとも」

負けず嫌いってことも！

「次もこうであるとは限りますまい。
　精進あるのみです」

「お付き合いありがとうござりました、シアーナ殿。
　胸を借りる想いでござりまする」

感謝の言葉に、深く、深い一礼。

「おはようござります、サーニャ殿」

「ハッハッ、それが良きに思えまするな。
　勝てど負けれど、
　拙者はシアーナ殿に負けている様なものでござりまするから」

「ええ、では。
　また縁が巡った時に、お会いしましょうとも」

ゆらりと小さく一礼して、見送ろう。

「ああ、では……。
　拙者もシアーナ殿と一戦交えたく思いまする」

「乱闘の他では刃を交えておりませぬからなあ」