Ino.19 馬車馬島 - シマナガサレ
ハードコアスモールパスワード付
悠遠たる途中下車

Ino.19 馬車馬島

君たちは深夜のトラムに乗ったはずだった。

STATS

5人 / 人数

ハードコア / 難易度

スモール / 広さ

OVERVIEW

その日は珍しく、終電後にも動くトラムがあったらしい。
偶々予定時刻から遅延していたのか別の運行予定があったのか理由は定かではないものの、
何よりも助かったといった辺りだろう。
仕事か何か、或いは乗車券も持たずに紛れ込んだ不届きものか。
確かであるのは、あなたたちはそのトラムに乗り込んだという事だ。


それが怪異たる幽霊トラムとも知らずに。

チャットとメッセージ

ゲーム中はチャットはALLと同じ表示がされ、またメッセージは公開されません。
エピローグ期間に入り次第チャットは通常公開され、メッセージはゲーム終了後に通常公開されます。


「…………どうしたものかな」

ぼったくりにでも合わなければ二~三年は質素倹約な生活であれば働かなくても食いつなげそうな気配がしている。

しかし、そこまでだ。それだけだ。

「新しい部屋でも何処かに借りて」
「…従業員を探している店にでも雇ってもらって」
「…………」</small>

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「下手したらもうされてっかもだが、
どうせ手続きは嵩むし余計なモン背負う前に確認は要るだろうな」

対象に信頼が置けないのならば、己に関する事を他人に任せるべきではない。
長い物には巻かれた方が体裁を保てるのなら、総合的には手間賃など幾らでも出すべきだ。


「だろうな。素人でも状態が悪かねえのは分かるし、
下手な店行かなきゃ相応の値段で買い取るだろうよ。野盗ばかりは運便りだが」

「……で?」

その先だろう。

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「まずは、戸籍の分籍」
「…借金は相続していないとしたいけど、難しいだろうな」

商会の心象的にも。中層で生きていくことを…否、都市で生きていくことを考えるならば、あそこの悪感情を買いたくはない。正当性があろうがなかろうが彼らに阿るべきだ。

「貰った分も合わせれば…持ち帰りが叶うなら結構な売値になると思う」
「特に金貨、多分純金だ。柔らかい」
「だから、それで金を返して」

「……」

その先。

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「……………」

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男の片手には大型船の設計図。
元からこの男も何をしているか分かりにくい部類ではあったと思われる。
それはそうと、身支度を整えてくれるのは有難い限りだったが。

「いや、大した用じゃない」

「お前も帰ったらどうすんのかなと」

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ベルト捜しの後は水くみに行くくらいで、ちまちまちまちまと脱出用の資材を集めたりまとめたりしていたのだろう。
隅っこにいたちびすけが顔をあげた。

「む」

「どうした?」

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「よお」

何かの折。
作業やら探索やらで他人の影が居ない時にでも。
ひょ、と顔を出してきみを呼んだ。

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「最寄りい?」

最悪になる可能性が出てきたかも。
これ以上の生き地獄の可能性が。

「んはは」
「はあい」「働こ働こ」
「お話楽しかったわあ」
「ありがと~」

優先チケット捥ぎ取ってほっくほく。
そのまま船でも組み立て始めたのかも。

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「医者ってどの医者だよ……」

中層はまだしも下層の医者にまともなのが居ると思ってない。
これ以上の生き地獄は御免被る。

「……はあ。そろそろ切り上げるぞ」

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無いと言うのは流石に欺瞞。
本人もないとは言わなかろう。

「すぐ死んどったら拾いに行ってお医者さんとこ連れてったげるう」

ご機嫌。けらけら笑ってそんなことを宣う。
楽になんてしてあげないもの。

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悪意が無いとは言わせないつもり。
善悪も害意も何もなしに好奇心を振るっていたとしても、だ。

「や~~~ぁだ」

さっさと死にたいね。
その方が楽だと確信していたから。

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ちょっとじゃれつきはしても害意も悪意も――。
悪意めいた好奇はあるが。
ともあれ会話自体は一応成り立つ。

「んは」

舌打ちの音に好ましげな笑い声。

「長生きし~~よお」

あなたが来てくれるまで。
追いかけっこは、どちらが鬼でも楽しいのだから。

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まだ言葉が通じて一見上でも会話ができているだけマシだ、と。
そういう事にしている。
追いかけ回されたくはないが――――

「 」

舌打ち。
優先チケットに間違いは無く、そう。
言ってしまえば結果的に唾を付けたのは此方なのだ。
末路にまで進んだのなら、追い掛けるのは、果たして。

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対話を選ぶだけ、というものかも。
まだまだきっと道は遠くて。
歩むさまを見ていたい。
やっぱり追いかけ回しそう。鬼ごっこかも。

「そやねえ」
「俺としては優先チケットもらったからあ?」
「ほっくほくの気分やけど」

だって顔見ちゃったから。
知った今なら、末路のその後で来てくれたらいいなと思う。
殺し合いのワルツをしたい。

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好きか嫌いかで言えば、まだ好める方ではあった。
はっきりと嫌悪をしていればこうまで話はするまい。
できればそのまま汚泥に沈みたいと願えど、それは遥かに遠い。

「だろ」
「どうしようも無い事にコレがワタシなんだから、付き合うしかないんだよ」

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自分と異なるそういうところが面白くて好き。
同族嫌悪の真反対。
泥にまみれて藻掻いていてほしい、ずっと。
それを見ていたいから。

「そ」
「そりゃ良いことで」
「その通りやしねえ」

肯定。それで良いと思った。
なってしまえば、そうなるものだ。

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火が怖いものであると原初の恐怖を失う様になりたくない。
虫になりたいのではなく、人間として足を付けていたい。
例えそれが泥に足を踏み入れる結果になったとしてもだ。

「ワタシはワタシだ」
「植え付けられたものだろうと、コレが今のワタシである事実は変わらない」
「もう成っている」

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飛んで火にいる夏の虫。
火がうつくしいから燃えるのを厭わない。厭えない。
これが楽しいと宣うばかりで。

「そうねえ」
「外から与えられたあ言うても」
「元はあなたなんやろ?」
「それともその結果?」

鶏卵みたいな話。

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それは孵化を待つ蛹ではなく、火につられ飛び込む羽虫と変わらない。
なにが楽しいんだか。

「知ってる」

それはそれとして嫌。

「こう頑固にもなる。だから偏執って言うんだろ?」

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成れないものに焦がれるからこその。
楽しいよと何時でもきっと囁く。
死の間際ですら。

「人の嫌なことって楽しくってえ……」

露悪。
別に逆も楽しむんだから同じことだ。

「頑固~」
「んふ」
「わからんでもないが」

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あんまりにも楽しそうで、羨ましいこと。

「嫌」

頑な。

「なるかならないか分からない、じゃない。
なると分かり切っているから余計」

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これだから人生はやめられなくって!

「ええよお? 来ても」
「おいでよ」

それはそれで。
きっと楽しいから。

「私はあ……」
「枷にならんとは言わんよ」

天秤にかけることはする。
秤がいつも傾かないだけで。

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残念な事に、或いは幸いな事に。
毛糸に困る事はないのだろうね。

「……」

「嫌」
「言ったろ、今はまだこうでも今後の事なんて知らないんだ。
ワタシがワタシを保つ為に、ワタシを知る者全部壊しに行く可能性も否定できない。
だったら初めからそんな縁なんか要らないし、ワタシはそれで良い」
「お前は違うかもしれないが情や縁なんて大概枷にしかならないんだよ。
そこに偏執が無くても」

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それでいいのかも。
猫の毛糸玉は転がり続けてほしい。
ずっとずっと遊べるように。

「んは」

突き付けてやりたくなるなあ、なんて。
思いはしても言いはしないとも。

「え~?」
「なしてえ」
「縁続いた方が面白いんに」

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