■ Ino.63 アップルミン島
【この島の生態系は確定ロールで破壊されます】ので、ご注意下さい。 基本的には当PCがソロールで生態系を破壊(ミントテロ)していく島です。 自然・生態系の破壊フリー。※放火のみNG行為とします※ 破壊されていく生態系を眺めたい人にもオススメの島です。
STATS
3人 / 人数
カジュアル / 難易度
スモール / 広さ
■ チャットとメッセージ
ゲーム中はチャットはALLと同じ表示がされ、またメッセージは公開されません。
エピローグ期間に入り次第チャットは通常公開され、メッセージはゲーム終了後に通常公開されます。
「へ?」
向き直ると、貴方を見下ろし首を傾げた。
いつ何時、何が起こるのかわからないというのは理解できる。
もしかすると、再び嵐が来ることだって、あるかもしれないのだから。
「良いですよ。何でしょう?」
「ん、そろそろ戻るか。
……と、その前に、ちょっといいべか?」
ミントがオリーブに語りかけ終わったころを見計らって、イチョウが声をかけました。
「戻る前にな、ちょっとだけ時間もらえるべか。
いつなんどき何があるかわからないかんなぁ……。今のうちに見せたいものがあるべ」
「歌はよくわからないですけど……それが素晴らしいことだっていうのは、今なら少しわかる気がします」
故郷では、誰とでも意思の疎通を測れた。
「ワカは難しそうですね……。
でもオレも、一緒に歌ってみたいです」
言語の壁を越える交流というものを、今日初めて知った。
同じことをしてみたいという気持ちはあるものの、やはり難しいことのように思う。
そろそろ戻りますか、と貴方に問い掛けてから。
「──────。」
オリーブの木に、人には聞こえない音で何かを語り掛けた。
「おらもミントさんに連れてきてもらって良かった……って思ってるベ」
まだオリーブの歌が体の中に響いているような気がします。
心に吹く薫風のような歌が。
「ミントさんに連れてきてもらわなかったら、通訳してもらえなかったら、きっと一生、木の歌に気づくことはなかったべ。こうやって歌を交わすことも……」
オリーブの木に相対し、イチョウは手を合わせて拝むように一礼しました。
そしてミントの方に顔を向けると、太陽みたいににっこり笑いました。
「んだなぁ、おらも昔は一人で歌うもんだと思っとったよ。
でもなぁ、たまに誰かと歌う奇跡が起こることがある……それはすっごく素晴らしいことなんよ……」
昔の事を思い出すように、しみじみと空を見上げました。
「――いつかミントさんとも歌ってみたいなぁ……。もちろん和歌じゃなくてもいいんだけんど」
オリーブの木と貴方を交互に見る。
言葉が伝わらなくとも通じ合う何かが、きっとそこにあった。
「……」
何となく、嬉しい。
こんな光景をもっと見たいと感じた。
自分達は、緑と人間を繋ぐことができるのかもしれない。
……と、胸中でこっそりと考える。
「どうしてかはよく、わからないんですけど。
今オレ、“良かった”って思ってます」
手を離し、両手で風を掬う。
移った体温は、直ぐに冷えて無くなった。
「歌って一人で歌うものだと思ってました。
こうして、誰かと歌うこともできるんですねえ……」
そよ風が、イチョウの髪を揺らすのを感じました。
葉擦れの音が耳の横を通り過ぎて行きました。
「そっか……いま、歌ってたんか」
体の中の大事な部分が、ざわりと揺らされたような気がしました。
「……これがオリーブさんの歌……」
その音色はイチョウの耳には聞こえなかったけど――体全体が、心が、確かに感じたような気がしたのです。
長い年月を経た、古木の歌を。
口の中から、ふと歌がこぼれだしました。
『オリーブの歌は音無く消えるとも 我が心聞く いにしえよりの音』
――まるで、オリーブに対する返歌のように。
────かさかさ。
────がさがさ。
────ぱき、ひゅう。
────……さあ、さあ。
「…………」
そのままオリーブの木を見上げる。
どこを見つめるでもなく視線を葉に、枝に、幹に向けた。
数拍間を置いて、
「……今、歌ってました」
頭上に向けていた視線を戻して、穏やかに笑った。
「言葉じゃないので、翻訳するのはちょっと難しいですが。
……オレが聞いたことの無い音でした」
あったのかもしれない。
風が吹き、枝が揺れ、葉が擦れる音のどこかに、そんな音が。
「……?
イチョウが嬉しそうなら、良かったです……?」
対する植物の方に、何か感慨深いものは無かったらしく。
むしろ、貴方の反応に驚いているようだった。
人にとっては、樹木の意思など空想のひとつであり──寝物語のような物である。
それは、これの理解を超えた感動だ。
きっとこれにとっては、初めて人間を見た時の感動が、今の貴方が抱く気持ちに近いかもしれない。
促されるまま手を差し出す。
何にせよ、喜んで貰えたのなら嬉しい。
「……あ、」
己とは違い体温のある手を握った時。
ふと、そよ風が頬を撫でる。
→
「そっかぁ、和歌じゃなくて、鳥のような歌を歌うんか……」
もしかしたら曲解しているのかもしれませんが――
イチョウの頭の中に、枝に止まる鳥とさえずり合うオリーブの木の姿が浮かびました。
長い長い時間の中で人間達の栄枯盛衰を看取りながら、変わることなく訪れる鳥たちと共に歌う大木が――。
詩を読む文明はなかったかもしれませんが、歌を知る大木の存在がすでにイチョウにとっては詩です。
イチョウは編傘を脱いでオリーブとミントに頭を下げました。
「オリーブさんありがとなぁ。そしてミントさんも。
すごく良い話が聞けたべ……!」
感動で目の端にほんのり涙を浮かべながら、ミントに握手を求めるかのように手を差し出しました。
「うぅ〜〜む……」
暫くして、赤い葉のミントが振り返った。
「ワカ、みたいな歌じゃなくて……鳥の方が歌うような歌なら、と」
土地が違えば文化も違う。
この島にかつてあった文明は、詩を詠まなかったのだろうか。
それとも、詠む余裕が無かったか。
または、発話器官を持たない植物には馴染みが薄いのだろうか。
「イチョウは渡り鳥のような方なんです。
……はい。ですから、ずっといるつもりは無いそうですよ」
渡り鳥、という例え方は少しずれている。
渡り鳥は再びやって来るが、旅人は二度と帰って来ないこともあるからだ。
しかし樹木に対する例えとしては、これ以上に無かった。
「ふむ?歌ですか……」
その話には通訳のミントも瞬きをひとつ。
この植物も初めて聞いたようだ。
オリーブの木を見上げ、口を開いた。
「歌、ってご存知ですか?
空を飛ぶ方々が時折出している声みたいなものです。
後は……言葉?短文?みたいな……」
少し前なら歌と言えば音楽のひとつとしか知らなかったが、今では和歌という詩の存在も知っている。
詩という概念の説明に少々手間取っているようだった。
→
「おらがオリーブさんに会いたかったのは、長生きの木さんに聞いてみたかったことがあったからなんだべ。
おらの国ではなぁ、長生きの木は人に聞こえない声で歌を歌うって伝説があるべ。それって本当なん?
オリーブの木さんも……歌を歌うんだべか?」
ミントは和歌を知らなかったけれども、長寿の樹木はどうなのでしょう?
好奇心がうずいて、つい聞いてしまいました。
「あははは……ありがたいべなぁ。
確かに釣り竿、大事に使ってるベ。オリーブの木さん、歓迎してくれるんかぁ」
イチョウは声を上げて笑いました。
けどすぐに眉を下げて、さっきと同じく深々とお辞儀しました。
「でもごめんなぁ。おら、ここに住むことは出来ないべ。
気持ちはありがたいんだけんど、でもおらは根っからの旅人で、ひとつの所に根を張って生きていくことができんのよ……申し訳ないべ」
実はなんどか一つの所に腰を落ち着けようとしたんです。
けれどもいつも何かに呼ばれるようにふらりと出て行ってしまって……気がつけば旅の道にいるのでした。
→
「……らしいですね。
そういえば、オレが会った時も最初に聞かれました」
最初から定住の話を切り出したのなら、この樹木は挨拶という文化を持ち合わせていないのだろう。
そもそも植物に文化や慣例があること自体、貴方の土地ではあり得ないことであるが。
「イチョウなら大歓迎って仰ってます。
……えーと?」
オリーブを見上げ、暫しそのまま。
「あ~~~、成程。
それは確かに、ポイントが高いですねえ」
何かを納得したのか、貴方に視線を戻す。
「その釣り竿、木で作ってますよね?
ちゃんと大事に使ってるから、自然を粗末に扱う人間じゃない。
だから歓迎、ってことみたいです」
「いんや、おらは根っからの旅人だから、ここには定住することはしないんだけんど……。
もしかしたら、ここにずっと住みたいっちゅう人は、オリーブの木さんにあいさつしに来てたんだべか?」
いきなり定住の話をされたということはそういう文化があったのかも、とイチョウは予測して訪ねました。
「……いえ、前にいらした方とは違う筈ですよ」
どうやら人間の区別まではしていないらしい。ミントは笑って樹木に首を振った。
「ふむ?……ふんふん」
くるり、貴方を振り返る。
「イチョウはここに住むのか、と仰っています。
どうやら、昔は定住している方もいた様で」
資源の豊富な島だ。
十数人くらいなら養えるのだろう。とはいえ、彼らはもういないわけだが。
「オリーブの木かあ……。
まるで一件の家みたいだべ……」
ごつごつとした幹に、天に向かって手を広げるかのような枝ぶり。
その立派な姿を見ていると、まるで神さまの前にたっているような心地になりました。
「瀬戸イチョウです!
本日はオリーブの木さんとお話する機会をもらえて光栄です。
……よろしくお願いするべ!」
ついつい敬語になりながら、腰を90度に折るぐらいに深々とお辞儀をしました。
「はいっ、……こちらの方です!」
貴方が周囲を見渡したのもその筈。
人間、特に日本人が“長命の木”と言われて想像するのは杉のような高木である。
「話の通じる方で良かったです。
ニンゲンの方も見たことがあるらしくて」
───そこに生えていたのは、太いオリーブ。
樹高こそ低いものの、その太さは積み重ねた年輪を物語っている。
ミントと同じシソ目の樹木だ。
だから“話が通じる”のだろう。
「……こちらは、イチョウと呼ばれるニンゲンの方です。
是非、貴方様にお会いしたいと」
樹木に語りかける口調は貴方に対するよりも、少し固い。
このオリーブを、目上の存在として扱っていることがわかる。
「ミントさ~~ん!!」
森の中からイチョウが息を切らせてやってきました。
「えらい大きい声でびっくりしたべ!
ま、そのおかげで道には迷わなかったけんど……」
気がつけば森の中心部。
木は鬱蒼と生い茂り、今にも道に迷いそう。ミントに呼ばれなければ決して足を踏み入れることはなかった区域です。
「ここに、島で一番長生きしてる木があるん……?
どの方だべか……」
イチョウは首を上に傾げると、あたりをキョロキョロと見回しました。
森林の奥深く。
島の中央付近で、メガホンを使った。
「うわはははは!
すごい大きな声になってる!」
「イチョウ〜〜!」
気に入ったらしい。
「いちょお〜!!」
船が流れ着いたので、興味本位で足を踏み入れました。
中を漁ると、指輪やベルト、金貨などが見つかります。
「お金持ちの船だったんだべか……。なんかの事故でこんなことに……?
なんだか……頭に歌が降ってきそうだべ」
イチョウは帳面を取り出すと、文字をさらさら書き付けました。
老いた船の流れ着きたる竜骨は 遠き栄光の墓標なりけり
「ん、それじゃあまたあとでなぁ~!」
先に出るミントに向かって手を振りました。
「……お!ぼちぼち出られそうですね。
オレはルート確認してきますので、大丈夫そうはら呼びますよ。
多分、嵐で道も荒れてるでしょうから」
壁の一部が左右に裂ける。これが指示したのだろう。
その隙間から、ひょいと外に出た。
「それじゃっ、また後で!」
荷物の中には、しっかりとメガホンがある。
古典的な方法で呼ぶつもりだ。