■ Ino.46 虹の見える島
体験版用の小さな島です。 想定人数:5人以下
STATS
5人 / 人数
体験版 / 難易度
スモール / 広さ
■ チャットとメッセージ
ゲーム中はチャットはALLと同じ表示がされ、またメッセージは公開されません。
エピローグ期間に入り次第チャットは通常公開され、メッセージはゲーム終了後に通常公開されます。
>>66374
「おさかなさん、」
渋々、そりゃあもう誰が聞いても渋々といった調子で口を開く。
「僕にも、やりたくないことは、あります」
いくら、おさかなさんのお願いでも、できないことはある。見られることに慣れていても、要請されてやるようなことではない、そういうことは、ある。
>>66371
そういえば、いつからか、あの、虎のような姿の人を見ていないことは、気にかかっていた。
「よろしく、お願いします」
おさかなさんを抱えたまま、軽く頭を下げる。
自分はまず、おさかなさんを船に連れて行かなければならない。
もし、手が必要だったらその後に駆けつけてもよいだろう。
そう思う。
「オオーーン!オオーーン!!」
無視した!無視したァー!!
「そだな。俺の体躯じゃ前足持つだけでも一苦労だろうよ…じゃ、ちょっと探しに行くか。小さい島だし、すぐ見つかるだろ」
背中を押されながらそう答えるも、ふと思い出したように人魚を抱えた男を振り返る。
「お二人さん先に船乗っててくれよ。ああ、アンタも。もう一人遭難者がいるんだ、ちょっと待っててくれ」
船員の青年にそう告げると、眼帯の男と二人でやや駆け足で島の奥へと向かうだろう。
フンフンと興奮気味の人魚は八〇七番さんを見ている。
担がれているので、距離はゲキ近い。
>>66341
なんで 僕に 振るの?
男は思った。言葉にするだけの気力はなかったけれど。
ほら、おさかなさんもその気になっちゃったじゃない。
「……………………」
沈黙。
それから、何事もなかったかのように船に向かって歩き出す。
こういう時は、何も見なかった、聞かなかったを貫くのがよいと男は知っていた。
さあ、早く船に行っておさかなさんを治療してもらわなきゃ。
「おおっとそうだな、そうだよな、あの大きさならどっかで倒れてたら一人じゃ運ぶのに苦労するだろうしチェイスだけだとたいへんだよな、な?だからさっきのはハチ見せて貰えよ」
そういうと猫のような男の背を急かすように押し
この島の新しい名前が決まりました。今からここは『虹の見える島』です。
>>66341
たしかに!!
「うん!!」
「ん?…あ、二人ともいたのか。元気で何より」
隣の男の反応とは違い、こちらは悠々とした様子でズボンの位置を直す。なにせ方やは同じ男だし、もう片方も女とは言え人魚なので。
「なあ、船来たみたいだぜ。あれ、あのでっけー虎の男はどこ行ったよ。船に気付いてないなら呼んでこねーとな」
そして賢い人魚は気づいた。
二足歩行の君達と八〇七番さんは同じ種族なのでは?
ならば、同じものが出せるのでは⋯?
「うぉーんじゃわかんねえ!!いやなんとなくわかっけど!!あっハチ…!ハチにもある!!そっちみろよ!!!!」
うーん、かわいそう。
おさかなさんを担いだ姿勢の男は、同じ男なのでちょっとだけ同情した。ちょっとだけ。
「しかし、説明に、困りますね……」
そもそも人間とおさかなさんの種は生殖の仕組みが一緒なのか?
男は真面目にそんなことを考えていた。
さっきのだせーー!!
「0o000ooo0ー!!」
>>66310
弾んだ声の応答に、ほっとする。
「では、行きますよ」
そうして、おさかなさんの体を支えながら、拠点を後にする。
……そういえば、船の話が正しければ、自分も帰れるのだろうか。
元いた場所に。静かで、変化のない、自分のいるべき場所に。
そんなことが頭をよぎりはしたが、今は、何よりも、おさかなさんの無事を優先する。
人魚の歌に合わせて――歌を歌うのは苦手だったから、代わりに、口笛で応える。
おさかなさんを担ぎ、口笛を吹きながら、船に向かってゆっくりと歩んでいく。
「おおっ??!いやあれは俺の船じゃ……ギャーーーーー!!」
光の速さで下衣の乱れを整え
あー!!なんか二足歩行のあれが
下からなんかでてるー!!
体調不良のため、八○七番さんの肩に乗っかっている人魚はあれなに!?とめちゃくちゃ聞いている。
>>66272
「ん?」
虹が消えたところで、耳がピクリと動く。
遠く海の向こうでする誰かの声を、人間の何倍もの聴力を持った獣の耳が隣の男よりも早く捉えた。
「………あっ」
続いて視力の良い獣の目が、船の姿を捕えるなり、すぐに男の背中を軽く叩き。
「おいカルブ!!見ろっ!船だ船!ありゃお前のか?」
そう言ってまだ影くらいしか見えない船の姿を指差し、男に問いかけた。
>>66283
持ち上げられた人魚は手伝うようによじのぼる。随分と視界が高くなって嬉しそうだ。
「うん!へーき! ぼくよかった!」
楽しいらしく、うきうきとしている。あなたとゆく新しいところはきっと楽しい。そう確信しているから上機嫌で歌っているだろう。
⋯このあと受ける治療で悲痛な声をあげるのは、もう少し後の話⋯
>>66272
「わははっ!虹ってお前…っ、何してんだよ!」
突拍子もない行動にすぐに腹を抱えてゲラゲラと笑いながら立ち上がり、男の横に並び。よいしょ、と手際よくファスナーを下げ。
「俺もちょうどもよおしてたから失礼するぜ〜……はあ〜いいなこれ。こういう場所でしか味わえない解放感だなァ〜へへっ」
そう言って自分も海面に向かって同じく一筋の虹を作るのであった。
満ち足りた表情で雄大な海に向かう男二人の後ろ姿が、そこにあった———。
>>66270
男の取り出した何か小さなものを少し前のめりになりつつ、よく見ようと興味深そうに覗き込む。それが鱗だとわかれば目をぱちくりとさせ。
「なんだァそれ…?鱗?へえ、あの嬢ちゃんのかな。綺麗じゃねえの」
感嘆の声を漏らしつつ、見れば満足したのか定位置に戻り。自分も枝を放り投げると、続く男の言葉には深く頷いて。
「そりゃ俺も同感だね。助けがきたらその辺詳しく話そうぜ……って、どうした?虹?」
不意に立ち上がり浜辺に向かう男を、訝しげに目で追い。
>>66255
「行きましょう、一緒に」
手振りで、示す。自分と、おさかなさんと。
「ふたりで」
おさかなさんが拒みさえしなければ、おさかなさんの体を慎重に抱き上げて、肩におさかなさんの上半身を乗せる。
そうしなければ、尻尾を引きずってしまうから。
体を鍛えていることに特に意味はない。惰性、といえばそうなのだが、今ばかりはこの惰性に感謝する。
「大丈夫ですか、苦しく、ないですか」
「………………フゥ~~…」
ザブザブと浅瀬に足を踏み入れる男が一人…
「おらぁぁ!!!!さっさとむかえにこいやぁあああ!!!」
仁王立ちをして大声でそう叫んだ男はごそごそと下衣を寛げるとまるで真夏のような日差しを受け宝石のようにキラキラそれを反射させる美しい海面に向けて一筋の黄金色を流れ落とし小さな虹を架けた….。:*+゜゜+*:.。.*:+◦