Ino.111 フィーネ島
ヒトリナガサレ
STATS
1人 / 人数
サバイバル / 難易度
スモール / 広さ
OVERVIEW
知らないようで知っている世界。
確かなのは今ここにいるということ。
それだけわかれば十分だ。
チャットとメッセージ
ゲーム中はチャットはALLと同じ表示がされ、またメッセージは公開されません。
エピローグ期間に入り次第チャットは通常公開され、メッセージはゲーム終了後に通常公開されます。
「ああ。簡単なものだが、前と同じか……それ以上の効果はあるだろう」
たぶん、この石の使い方として本来はもっと、相応しい方法があるのだろう。
だが生憎今はそこまで辿り着くことが出来なかった。
だからこれはこのまま護符として、持ち帰ることにしよう。
「……そうだ。この島に名前をつけよう」
繋がりを作ろう。そうすればいつか、再びここに繋がる時も来るかもしれない。
『なんだ。それ、修理したのか?』
壊れて力を失っていた護符が、再び元のように力を取り戻しているのを感心した様子で見る。
以前のものとは違って、不思議とこの海と同じ匂いがするような気がした。
「そうだな。なにかきっと、この世界の中でも根源に近い方のものなんだろう。
とはいえ……それがどんなものなのかを突き止める時間は、残念だがなさそうだ。
もったいないが、これはこのまま……」
そこまで言いかけて、ふと思い出したように上着のポケットを探る。
ここに来てから壊れてしまった、小さなタリスマンを取り出した。
「……待てよ。もしかしたら、これをこうして……」
何か思いついたように、しばらくごそごそと作業をする。
『それが気になるのか? ずっと見てるけど。
確かにちょっと、変な石だよな。
悪いものじゃなさそうだけど』
そう言いつつも、【黒】はどことなく居心地が悪そうだ。
どちらかというとよいものの側ではないという意識があるから、相反する力には苦手意識がないこともない。
「……」
手に持った石をじっと見つめる。
珍しい石は他にもあるが、これはまたそれらのどれよりも異質だ。
微弱だが、明らかに超常の力を感じられる。
『ふうん? まぁいいけどさ。
遊びすぎて船に乗れなくなるなんてことはないようにしてくれよな。
その時は引きずってでも連れていくぞ』
本気で心配しているわけではないが、一応釘を刺しておく。
脱出が一番の目的なのだ。それは忘れないでほしい。
「ああ。……いや、まだいい。もう半日くらいは平気だろう。
もう少し、やりたいことがあってな」
船に乗るのはギリギリでもいい。
救助の者たちも別に急がないだろう。
夜になったら船に乗る。それまでもう少しだけ、好きに過ごしたい。
『どうした。あれに乗せてもらうんだろ?
行かないのか?』
【黒】が不思議そうに問いかける。
船に乗るなら早い方がいいだろう。
この海岸も、だんだんと海に飲まれ始めている。
「……」
物陰に隠れて、浜辺に停泊している船を見る。
まさか本当に救助が来るとは。
来なかったらとても困るのだが、それはそれ。
いざ現れたとなると、さてどうしたものか。
「とりあえず……しばらく置いとく。
パンの生地はしばらく置いとくんだ。そうしたら膨らむんだ。なんでかは知らないけど」
調べたこともないから、発酵によってパンが膨らむ条件なんかはわからない。
だけどこれだけパン生地っぽいのだから、こいつもきっと置いといたら膨らむはずだ。
膨らまなかったら……まぁそれはそれとして、後で焼こう。
無発酵パンっていうものもある。聖体パンなんかがそうだ。
「……なんて言ってたかな。そこまでは思い出せないんだよな……」
『はあ……よくわからんが、よくわからんのは今更だからまぁいいか。
そういう木の実だってあるよな。うん。
きっと小麦っぽい木の実なんだろ。この世界では木に成るっていうだけのことだな』
だいぶ思考は放棄気味の【黒】も、わかったような顔をしながら頷く。
『……で、それ、焼くのか?』
「……そういえば、なんかこうやって、生地を作るんだったよなって。
急に思い出したから。それで、なんか……。
この木の実が一番それっぽい感じだったから、出来るかなと思って。
イースト菌? とかそんなのは何もないけど……。
捏ねてみればいいかと思ってやったら、なんか……出来た」
もう原理とかそういうのは一切考えないことにした。なんか出来てしまったのだ。
ここにあるのはパン生地っぽいものだ。そういうものなのだ。
『なにしてんだ。遊ぶっていっても、食べられるもので遊ぶのはおれは感心しないな。
……で、なんだそれ』
横で見ていた【黒】も怪しげな生地っぽいものをみて首を捻る。
生地っぽくはあるのだが……なんだろう、これは。
『動けるのは今のうちっぽいな。
やりたいことあるなら急ごうぜ』
波打ち際でちゃぷちゃぷしながら【黒】が尻尾を揺らす。
遊ぶのなら今日がリミットかもしれない。
