Ino.111 フィーネ島
ヒトリナガサレ
STATS
1人 / 人数
サバイバル / 難易度
スモール / 広さ
OVERVIEW
知らないようで知っている世界。
確かなのは今ここにいるということ。
それだけわかれば十分だ。
チャットとメッセージ
ゲーム中はチャットはALLと同じ表示がされ、またメッセージは公開されません。
エピローグ期間に入り次第チャットは通常公開され、メッセージはゲーム終了後に通常公開されます。
「わかってるよ。子供じゃないんだから、さすがにそこまで無茶はやらない」
気にはなるけど。すごく気にはなるけど、好奇心も大事ではあるけど。
もしこんなところで本当に動けなくなったらどうしようもない。
今のうちに体を休めて、体力を回復しておくべきだ。
「やれることもないし、のんびり寝て過ごすか。
なるべく早く嵐が晴れるといいな」
『何が光るって? さあ、おれは特に気づかなかったけど』
そりを引いて歩くので一生懸命だったから、周りはあまり見てなかったかもしれない。
未知の島なのだから、何があったとしてもおかしくはないだろうが。
『でもお前、それを探しに行くとか言うなよな。
もし海なんかに落ちたら大変だぞ。夜なんだし』
「うん、それはそうだな。
……でもな、ヤヤウィク。見ろ。あの辺り。
何があるのかわからないけど……時々何か、光ってないか?」
嵐の夜、暗闇の中をすっと指差す。
方向も遠近感もよくわからないが、確かに時折、何か光るものが見える気がするのだ。
『わかってたことではあるしな。
食うものも水もある。屋根が壊れても直せるし、じっとしてるのが一番だな』
下手に出歩くから飛来物なんかにあたって怪我をするのだ。
夜だから視界も悪いし、こんな嵐の中では何が起きるかわからない。
危うきに近寄らずだ。
「……まあ、案の定だったな」
頭を撫でさすりながら、呟く。外は完全に嵐だ。
もう少しだけ動ければこの拠点の補強も出来そうだったのだが、こうなってしまっては仕方ない。
木片がぶつかったところは小さなコブになってしまったが、この程度ならすぐに直るだろう。
とはいえだいぶテンションダウンだ。もう大人しくしていよう。
「まぁいい。とりあえず、僕がやりたいのは土を焼くことだ。
レンガみたいな頑丈なものが出来たら、いろいろと便利だからな。
……ピッツァね。作れそうだったら試してみるか。
材料が見つかればの話だけど」
食べたくないわけではない。もちろん。
作れれば万々歳だが、果たしてどうだろうか。
「無茶言うなよ。そりゃ僕だって食べたいけど、小麦もトマトもチーズもないのに。
……ないよな、たぶん。いや、でもまだ調べてない木の実もあるんだよな……」
不思議なものばかりある島だ。もしかしたら、と思わないでもない。
とはいえ。
「……でも、パンの作り方なんて知らないしな」
ぽつり、と小さく呟く。
『なー、おれ、窯があるならピッツァ食いたい。
こういう窯で焼いてるだろ。食いたい。
もう肉には飽きた! いや肉はあっていいけど別のもの食いたい!
パンとかパスタとかピッツァ!! 食いたい!!』
べしべしと尻尾で地面を叩いて訴える。
すっかり肥えてしまった舌ではもう野生には戻れないのだ。
「ばかだな、ヤヤウィク。窯があれば石だって焼けるんだぞ。
石が焼ければ金属も焼ける。
そういえば金属っぽい怪しい石があったな。
あれも焼いてみたら面白いかもしれないし、あとは……」
つらつらと窯の用途を並べる【白】は楽しそうだ。
実験室のことを思い出しているのかもしれない。
『窯ねぇ。いいけど、作ってどうするんだ?
肉とか焼く分には焚き火でも十分だろ』
火入れを担当した【黒】が不思議そうに首を傾げる。
よくわからないものを【白】が嬉しがることにはもう慣れているが、この無人島でわざわざ作る必要があるのだろうか。
「出来たぞ。窯だ。
試しに火を入れてみたけど、これで問題なさそうだな」
ドヤ、とやたら嬉しげに完成した窯を見つめる。
焚き火では火力が足りないものでも、この窯なら焼けるだろう。
『今までだっておれが結構持ってただろ!?
理不尽!!』
ギャンギャン言ってはみるが、動き出してみるとそりは意外とスムーズについてきた。
ちょっと楽しいかもしれない。重いけど。
「何って、そり。荷物を運ぶもの」
何を当たり前のことを、みたいな顔で荷物をどんどん載せていく。
これで運搬も楽になるし、一度にもっと多く持てるようになった。いいことだ。
『なんそれ』
【白】が作った大きなものを見て盛大に嫌そうな顔をする。
しかも何故かロープが自分に括り付けられている。解せぬ。
「……確かに船の汽笛のようだった。
近くに来ているのかはわからないけど」
微かに聞こえた音を確かめに、海岸まで来てみたが、その姿までは確認出来なかった。
たまたま近くを通りがかっただけかもしれないが。
「でも、他の船が存在するのは確かなんだろう。
それならやっぱり、上手いこと気づかせて、拾ってもらうのが確実そうだ」
安全にこの島を離れる。それが最終目標なのだから、そのために準備をしなければならない。
あの音が本当に、救助の船であれば助かるのだが。
『……さすがに姿までは見えないな』
よりよく闇の中を見通せる【黒】の目でも、海の上には特に何も見えなかった。
それでも時折、ぴくぴくと四つの耳が動く。
『聞こえはするんだけどなぁ。ずっと遠くの方に』
「……そうだな。懐かしいな」
全部食べてしまわずに、少し残しておこうか。
そうしたらまたそのうち、懐かしくなった時に食べられるだろうから。
