Ino.111 フィーネ島
ヒトリナガサレ
STATS
1人 / 人数
サバイバル / 難易度
スモール / 広さ
OVERVIEW
知らないようで知っている世界。
確かなのは今ここにいるということ。
それだけわかれば十分だ。
チャットとメッセージ
ゲーム中はチャットはALLと同じ表示がされ、またメッセージは公開されません。
エピローグ期間に入り次第チャットは通常公開され、メッセージはゲーム終了後に通常公開されます。
『いやいやいや、そんな文句なんてあるわけないだろ。
さすがだなブランクス。お前の読みはバッチリだったな。
いやぁ、美味そうなトリだ。うん』
ぴぴぴぴ、と尻尾を振りながらトリをじっと見つめる。
腹が減っているのは同じなのだ。木の実ばかりじゃ全然足りない。どうしても肉を食べたい。
この先もっとたくさんの獲物が罠にかかってくれるのを願うばかりだ。
「伝統の罠にケチをつけるなよ。
別にお前は食べなくてもいいんだぞ。僕は腹が減ったから食べるけど」
言いながら、手早くトリを〆て羽をむしっていく。
ジャングルで野宿生活をしたこともあるから、捌くことには慣れていた。
焼けばいい感じに食べられるだろう。今日は焼き鳥だ。
『おお……確かに。
こんな罠でも獲物がかかるんだな。
無人島だから警戒心がないとしても……ううん。
お前、もうちょっと怪しいと思った方がいいぞ。今更だけど』
古典的な罠に引っかかっていた獲物の鳥に、思わず話しかけてしまう。
引っかかってくれたのは素直に助かるが、もっと警戒するべきだ。
じゃないともっと多くの人間が来た時に、あっという間に食い尽くされてしまうぞ。
「……まあ、そうだな。
もう少し、大きい火を作るか。
この辺り一帯くらいなら照らせるように」
出来るならそんなものを身近に置いておきたくはないが、背に腹は代えられない。
大きな火があれば遠くからでも見えるだろう。
暗い闇の中でも、拠点に戻ることが出来る。
「明日、明るくなったら島の反対側まで行こう。
早いうちに全体を把握しておきたいしな」
『日暮れみたいだな。
あんまりうろうろしない方がよさそうだ』
元々夜の生き物である【黒】には、どれだけ暗くても問題はないけれども。
夜目が利くとはいえ【白】の視界は人間相応だ。
何があるかわからない場所をうろつくのは懸命でない。
Eno.583:Blancusは焼いたサメ肉を食べた! 海の旨味と臭みが口の中に満たされる……!
(体力+16、満腹+16)
『じゃあ、おれはその間にサメを焼くか。
調味料はないけど……海水にでもつけとこう。ないよりマシだろ』
臭み取りとかなーそういうのしたらいいんだけどなー。
ブツブツ言いながらも、捌いたサメの肉を火にかける。
ああなんて野生的な食い物。なんだかちょっと懐かしい。
……でも今は、本音を言えば、チーズたっぷりのピッツァが食いたい。
「いや、まず水を作る。人体には水分の方が必要だからな。
火を二つに分けてくれ。海水を蒸留出来るようにする」
専用の道具がなくても、液体の蒸留は錬金術の必須技能だ。
トート家の異母兄からはそちらもしっかりと叩き込まれている。
砂浜で拾った容器や資材を使って、簡単ではあるが蒸留器を作ることは出来た。
実験室のものと比べるとあまりにもお粗末だが、海水から真水を取り出す程度のことなら問題なく行えるだろう。
『ほいほいっと。うーん、まぁこんなものだろ。
とりあえず木に移しておけば消えないし、移動も出来るからこれでいいな』
【白】の様子は全く気にせず、木材に小さな火を移す。
これで何にでも使えるだろう。
【白】はどうせ持ちたがらないから、もう何も言わずに【黒】は火の番を買って出た。
『それで、どうする。さっそくサメでも焼くか?
腹減ってるだろ。おれは減った』
「……そうだな。
いいぞ、ヤヤウィク。よくやった」
足元に置いてあった木材を【黒】の方に押しやりながら、ちょっとだけ火から離れる。
別に苦手なわけじゃない。
これはもうそういう習性なのだ。
『出来るもんなんだなぁ。熱い。
で、後はこれを大きくすればいいわけだな。
よしよし、おれに任せろ』
あちち、と言いはするものの、火種の乗った獣の前足はびくともしない。
本質的に火傷という概念はない存在だ。
手早く火種を枯れ草の上に落とし、息を吹きかけると、ぽっと勢いよく火が起こった。
『おお、ついた! やったなブランクス。
これでサメを生で食わずにすむぞ』
「とりあえず、なんだかんだで火種は出来たな」
小さなガラスを指先で弄びながら呟く。
簡易な護符として昔作ったものだ。
形状はガラス板なので、工夫すればレンズとして使えないかと思ってやってみた。
こんなに上手くいくとは思わなかったが。
「どれだけ離れなきゃいけないかもわからないのに?
さすがにこの段階で、そんな博打をする気はないよ」
【黒】の意図に、当然だとばかりに鼻で笑って返す。
「まあ、幸いここにいられる猶予はまだあるみたいだからな。
少し休んだら、もっとこの島のことを調べるとしよう」
『ふうん? そういうものなのか。
となるとどうする?
いっそのこと、泳いで沖に出てみるか?』
冗談めかした言葉と共に、小さく笑う。
もちろんそんなことは御免だ、と言外に含ませて。
「……なるほど?」
曖昧極まりない【黒】の言葉に、何か察した様子で頷く。
「……干渉しているんだな。されているというべきか。
時間か、場所か、或いは……」
言いかけて、けれどもそれは結局意味のないことだったから、【白】はそこで言葉を切った。
意味のないことは、確認したとて仕方がない。
「まぁいいさ。どっちにしろこうなったからには、やることは決まっている。
ここはアリアドネの適用範囲外だ。『迷宮』に戻るには、たぶんこの島を離れなきゃならない」
