Ino.2 いとしさとせつなさとこころづよさ島 - シマナガサレ
テスト島(大) その2

■ Ino.2 いとしさとせつなさとこころづよさ島

体験版用の大きな島です。 想定人数:25人前後

STATS

29人 / 人数

体験版 / 難易度

ラージ / 広さ

■ チャットとメッセージ

ゲーム中はチャットはALLと同じ表示がされ、またメッセージは公開されません。
エピローグ期間に入り次第チャットは通常公開され、メッセージはゲーム終了後に通常公開されます。


Eno.38 ->Eno.158

たると

[Eno.38] 2022-08-20 21:38:40

「たるとも大事にしますよ。社長さんの腕」

いつもの自分らしく、くすりと小さく笑って見せる。

「……はい。行きましょう、ニューマさん」

同じように一歩を踏み出す。
弱音はぐっと堪えて、真っ直ぐ前だけを向いた。

Eno.158 ->Eno.38

ニューマ

[Eno.158] 2022-08-20 21:33:19

「そうだな、乗ろう。皆ももう乗っただろ」

一度振り返り、島を見やる。
既に砂浜は完全に海に沈んでいた。

「名残惜しいが、ここともお別れだ」

一歩踏み出し、
タラップを進む──

「行くぜ。たると」

Eno.158 ->Eno.38

ニューマ

[Eno.158] 2022-08-20 21:28:08

「従業員とかからも多分帰ったらそういうこと言われる。
 善処します」

ビジネス返事を繰り出した。
これが社会の荒波を行く社長の生き様だ。

「もともと私物か、そういやアクセサリー色々身に付けてたもんな。欠けてる…か」

そういうのも悪くない。
誰もが完全ではないから、お互いを支え合うのだ。

「大事にするよ」

Eno.38 ->Eno.158

たると

[Eno.38] 2022-08-20 21:13:59

「今多分って言いましたよね。
知りませんよ。いつか本当に全身無くなっても」

軽口を叩きつつ。
良いものというのは歌の事かな……と思っているけど、
多分違う。色々と自覚が無いのだった。

「これは、たるとが元々持っていたものですよ。
『半分欠けている』のが…… 何だかわたしっぽいでしょう」

やや解釈の余地があるコメントだ。
果たして元々そういったデザインなのか、
欠けてしまったのかは敢えて秘密にしておいた。

「……そろそろ乗りますか、船」

Eno.158 ->Eno.38

ニューマ

[Eno.158] 2022-08-20 21:05:55

「おかげさんでこの島での休暇は忘れられねえよ。
 何とは言わんが良いのも見れたしな」

語気に大分いつもの調子が戻ってきた。
何とか歩けそうだ。
ひとまずポケットに指輪をしまおうとして……ふと意匠に目が止まる。

「そういやこれ、欠けてるけど。こういうデザイン?」

Eno.158 ->Eno.38

ニューマ

[Eno.158] 2022-08-20 21:03:18

「毎回身体のどっかを譲り渡してたら全身無くなるわ。今回みたいなのはさすがにもう止める。多分

ホントか?

「心配しねえでも生きてるさ。後ろ向きに捉えるのはもう卒業した…まだまだやりたい事も多いんだ──
 っとと、大丈夫だ。サンキュ」

支えられながら、どうにか降り立つ。
同時に差し出された指輪を手のひらに乗せた。
何の力も無いという指輪は、淡く光を反射している。

「よくこんなとこで用意できたな…綺麗だ。
 ありがとう、ありがたく貰っておく」

Eno.38 ->Eno.158

たると

[Eno.38] 2022-08-20 20:29:09

「……これ、たるとの代わりだと思ってください」

半分欠けている、淡いミルク色の宝石がはめられた指輪。
それは、目の前に居る誰かと同じ色の輝きを放っている。

「別に何の力も込められていない、ただの指輪ですけど。
時々眺めたりして、
この島で過ごした日々を思い出してくださいよ」

Eno.38 ->Eno.158

たると

[Eno.38] 2022-08-20 20:26:03

「嗚呼── そうでしたね」

お礼はしっかりと用意してある。
けれど今渡すとなると、落としてしまう危険があるので。

「もうすぐ船に着きますよ。……立てそうですか」

翼を最後にひとつ羽ばたかせ、ふわりと船の前に降り立つ。
あなたの身体を支えつつ、ポケットから取り出したのは──

Eno.38 ->Eno.158

たると

[Eno.38] 2022-08-20 20:25:03

「……嬉しい」

また少し泣いてしまいそうになる。
数滴の涙は風に溶けて、きらりと刹那の輝きを放った。

「たるとが腕返しに行くまで、ちゃんと生きててくださいよ。
あと、誰にでもそんな風に身体の一部をあげたりしないでください……」

胸の奥にあなたの鼓動を感じる。
不思議と勇気が湧いてくるのと同時に、
ほんのりと気持ちが温かくなった。

「ふふ、はい。頑張ります」

Eno.158 ->Eno.38

ニューマ

[Eno.158] 2022-08-20 20:09:02

「ところでお礼って言ってたけど何?」

Eno.158 ->Eno.38

ニューマ

[Eno.158] 2022-08-20 20:08:22

「……」

「おう、もちろん。幾らでも待つ」

島が海に飲まれていく。
数多の世界から流れ込むという海流は、瞬く間に眼下を潮で塗りつぶしていく。

「それまでは預けておく──
 必ず返せよな、腕」

『左手』を握る。
翼に力を与えるように。これから再び立ち上がる者の背中を、ささやかに押すように。

「頑張れよ」

Eno.38 ->Eno.158

たると

[Eno.38] 2022-08-20 19:40:41

「だから、たるとの事……
その時まで待っていてくれますか……」

Eno.38 ->Eno.158

たると

[Eno.38] 2022-08-20 19:39:49

お人好し、という言葉は否定しなかった。
本来の自分はそういった性質なのかもしれない。
ふ、と小さく笑ってから、ひとつ深呼吸をして──

「どんなに離れていても、
たるとは社長さんの事をずっと忘れません」

星が浮かぶ澄んだ夜空を、二人きりで飛行する。
もうほとんどの者が船に乗り込んだのか、
島に人影はあまり無かった。

「いつか今よりも立派な神様になったら。
自分一人の力で…… この翼で、社長さんに会いに行きます」

──だから。

Eno.158 ->Eno.38

ニューマ

[Eno.158] 2022-08-20 19:35:32

「良いぜ。約束できることならな」

「何だ?」

Eno.158 ->Eno.38

ニューマ

[Eno.158] 2022-08-20 19:34:38

「そうか。良いんじゃねえか」

簡潔に答える。口を挟む問題でもない。
今度は同じ失敗は繰り返さないのだろう。

海風が麦わら帽を揺らす。
船が近づいてくる。

「お前は案外、お人好しなんだな」

それとも神としての責務とやらなのだろうか。
いずれにせよ、それが誰かの力になるのなら。悪い話ではない。

Eno.38 ->Eno.158

たると

[Eno.38] 2022-08-20 19:26:48

「……ねぇ、社長さん。
最後にひとつだけ、約束してほしい事があります。」

「聞いてくれますか」

Eno.38 ->Eno.158

たると

[Eno.38] 2022-08-20 19:21:12

「通信端末があれば、世界中の人に祈りを届けられる。
もし行き先に迷ってしまった人が居るのなら……
わたしがこっそり正解の道を教えて、助けてあげたい。

「どんなに小さな迷いだって良い。
苦しんでいる人を救いたいのです……
わたしはそのための力を持っているのだから。

それは、一番最初の気持ち。
わたしが神になる事を決めた日と同じ台詞。

Eno.38 ->Eno.158

たると

[Eno.38] 2022-08-20 19:19:21

「……たるとは」

ひとつ、羽ばたく。ふわりと身体が宙に浮いて、
浸かっていた足から二人分の雫が海面に落ちる。

「またこれから、占いサイトの管理人に戻ります」

地面がだんだんと遠くなる。
もうすぐ潮が満ちる海と、夜空の境界が曖昧になる──
最期の時は刻々と迫っていた。

Eno.158 ->Eno.38

ニューマ

[Eno.158] 2022-08-20 18:34:46

「うし、準備できたぞ。………」

視界の端で島を捉える。
沈みゆく砂浜を。

「ここからまた始めれば良い。
 お前がまだ、最初の志を捨ててないなら。一からまた」

救いたいと思う者がいるのなら。
一歩ずつ歩めば良い。

「そしていつか──また元の世界にも帰れるようになったら。
 その頃にはオレの腕が無くとも立てるようになってるよ」

「きっとな」

Eno.158 ->Eno.38

ニューマ

[Eno.158] 2022-08-20 18:33:50

「いつかの未来なぁ…、礼はいらな──んぐっ」

意外と泣き虫なのか、と思いつつの再びカエル声。
しかし止めさせようにもうまく動けないし、まあ悪い気はしないのでそのままにしておいた。

「……おお」

サングラスが白い輝きを反射する。綺麗な翼だ。
たるとの背中にどうにか乗って、落ちないようにしがみつく。

Eno.38 ->Eno.158

たると

[Eno.38] 2022-08-20 11:37:12

「──今こそ、竜の力を解放すべき時です」

あなたの身体の一部を取り込んだことにより、
本来持っていたエネルギーは十分すぎる程に満ちている。
涙の跡を拭って、ひとつ深呼吸をしてから。

 ────変わって。

心の中で、変身の合図の呪文を唱えれば。
背中にばさりと出現したのは、尾と同じ純白の大きな翼。
それはまるでオーロラのベールのようで、
何よりも強く、撓やかで美しい。

「……船まで一気に飛びますよ。背中に乗ってください」

Eno.38 ->Eno.158

たると

[Eno.38] 2022-08-20 11:32:48

「いつかの未来の話ですよ。
左手と聞いて思い付いたのが、何となく指輪だっただけです」

「…… ……。」

駄目だ。やっぱりどうしても悲しい気持ちは消えなくて、
涙がぽろぽろと溢れてしまった。
あなたの左肩をそっと擦る。元々ここにあったはずの腕は、
今はわたしの心臓と一体化している。

「ぐす…… そうですね。
今のたるとに未来があるのは、社長さんのおかげです」

「……本当に、ありがとうございます。」

最後に一度だけ、優しく包み込むように──
あなたの頭をぎゅっと自分の身体に抱き寄せてから。

Eno.158 ->Eno.38

ニューマ

[Eno.158] 2022-08-20 10:34:26

「大丈夫だよ。その手のは博士の得意分野だ。
 嬉々として何か造ってくれるだろ……結婚指輪は…いや急に何でそんな話が出るのかは分かんねえけど、まず相手いねえし」

さすがにずっと抱きしめられてるのは気恥ずかしいので自力で立とうとする。が、足に力が入らない。
かつてない程に疲弊している。

「どうにかなったか、何よりだ。
 それなら…ここで終わる必要は無いな」

船に視線を向ける。
潮は満ちつつある。

「すまん、足が動かねえ。乗せてくれないか」

Eno.38 ->Eno.158

たると

[Eno.38] 2022-08-20 10:12:16

「あ、そういえば」

言われてからはっと気付いた。
魂が蒸発していくような感覚が、いつの間にか消えている。
未来を見通す力も、
消えたり減退しているようには思えなかった。
つまりは──

「…どうにかなってますよ。十分すぎるくらい」

試みは成功だった。
代償があまりにも大きすぎたことを除けば。