Ino.8 大森林ツタツタ島
遠方たる孤島はそこにある。
STATS
7人 / 人数
ハードコア / 難易度
ミディアム / 広さ
OVERVIEW
小さな孤島。君は本当に生き残れるの?
チャットとメッセージ
ゲーム中はチャットはALLと同じ表示がされ、またメッセージは公開されません。
エピローグ期間に入り次第チャットは通常公開され、メッセージはゲーム終了後に通常公開されます。
「…………うん、別に」
「僕の行為について、複数人による協力を絶対的に求めるものじゃないし、誰かを破滅させるものではないから他人の理解を求める必要はないね」
「可能性として、僕自身が破滅するだけだ」
「なぁんにもわかんない」
「生命維持のための本能的欲求を除くあらゆる自発的行為は自己を満足させるものではないかい……」
岩風呂の側でぐにゃぐにゃになる。
「僕は、」
お互いに心情事情があるけれど。
ここで天使が意義を唱える権利がないのは、
対話をしなかったツケでもある。
「…………ううん。ごめんね。
ああ、ツユクサもイザヤも居たんだ。
全員纏めて雨に濡れて風邪引いちゃうよ」
肩を叩くイザヤを見て、数秒の思案。
「僕は、森林の岩風呂使おうかな。身体が暖まるのものね」
下手な言い訳をして、なんにも触れずに、この場を去ろう。
「じゃあね、ネヌも早めに戻るんだよ」
露草と同じように、砂浜の向こうからのそのそと歩いてきた。
桃の横に立つと、とんとんと軽く肩を叩く。
「桃さん、その辺にしておきましょう。
きっとこれ以上話し続けても……二人ともあまり幸せになりません」
「それに、ちょっと桃さんに手伝ってほしいことがあるんです。
良かったら、一緒に来ていただけませんか?」
そう言って、桃の耳元に向けて何かを囁いた。
「それ以上ネヌの事を何もわかっておらぬのに
分かった気で喋ると 我も怒るぞ
一旦落ち着くかどうかしたらどうだ」
とことこと歩いて ネヌにハグすれば背を撫でた
「…………」
雨が、降っていた。
隔絶であり、断絶だ。
時間で癒そうとした傷は化膿し抉れ、痛みは増すばかり。
惨状としか言い様があるまい。
「怒るとか、許す許さないとか、そんなのじゃないんですよもう。
憎いとか、加害したいとすら思いません」
「もうこれ以上私にも、先輩にも関わらないで」
「これ以上、お前の自己満足と利己で私達を詰らないで」
「もうやめて」
「もう」
「なら勝手にしてくださいよ」
「諦めない事も、これからの事も」
「一々蔑ろにし続けた私を、何度も踏み躙る真似をして
逐一の報告も何も要りませんから」
「わからないよ、人の事は。
でも、君から見て
僕がかなり中途半端にみられてたことだけは解った」
「君にとっては今更でも、僕にとってはこれからだ」
それから一つ首を縦に振った。
「……うん、殴ってくれて構わない、
いやまあ、蹴ってもいいけど……。
どの口がと、君の気が済む程度にボコられる覚悟はある」
「そうだね、あれもこれもと欲張ってしまったことは否定できない。
やらなくて後悔するくらいなら、全部やろうとした結果だ。
料理をしたのも、楽しそうにしたのも、他の誰かと話をしたのも、君に声をかけ続けたことも。
無事脱出した暁には行うだろう人探しの旅路まで。
行動を起こし続けて変容を求めた僕の高慢がこれまでだ。
何時か。どこかで理解しあえるんじゃないかと願った結果がこのザマでもある」
数秒の、思考。
「後悔したくないから言おう。僕はね、きっと何も諦めたくないんだ。
料理をするのも。楽しくするのも。他の誰かと話したのも、君に声をかけ続けたのも。
かつて島と共に沈んだシュパーズ・レープハフトの生存を信じて探し続ける事も!
これ過去イチ最高に怒られる気がしてるし解ってくれとも言わないが
天使に許される時間と可能性を全て支払う覚悟はここにある」
とん、と自分の胸を軽く叩く。
「――せめて、何も包み隠さず居てくれればよかったのに。
私や先輩をダシになんか、してほしくはなかった。
人の事も分からない癖に……今は人間に近いだとか、
天使だからだとかで生半可に中途半端な慈悲なんて要らなかった」
「……」
「あまりにも今更」
「"一生懸命"?
一生懸命やった結果が、それ。
そうですね、こんなに分かりやすく嫌悪を向けたのにピザだの
フレンチトーストだの挙句一緒に行こうだの、気が利かないのは確か。
楽しそうで良かったじゃないですか、アイスクリーム作りとか。
触れなきゃこうして向ける事のなかった事さえ
態々足を運んで突きに来たのですから」
「分からない、だから駄目。
そう言うのならそれ以上にはならないでしょう。
私の言葉で、だってお前の都合」
「ごめんね、ネヌ。僕は決して頭が良い方ではない。
君が良く回るというけれど、凄く一生懸命なんだ。一生懸命やってヘタを打つ。きっと気も効かない。察することがカスほど下手くそだ。
おまけに多分自分を正当化しているらしい、救えないね。
受け身になってしまうのは、解らなかったから。
君の怒りの在り方も、君の抱く絶望感も、憎悪も敵意も僕にはちっとも解らない。だから君の言葉で理解できないかと考えたが。
駄目だったらしい、どうにも」
「最悪といわれたのも初めてだ。
いやまあ製造5年で起動13日なんだけど……。
他でもない君が言うんだ、間違いがないのだろうね」
貴方からの言葉を粛々と受け止めて。
最後に自嘲するように、笑うか。
「ごめんね。
君に何か出来ないかと考えた事こそが、罪だったかもしれない」
「……ふぇっくし」
雨に降られて、風邪を引いたかもしれない。
「砂浜の向こう……剣呑な雰囲気ですねぇ……
船が完成したお祝いを言いに行こうと思ったのですが、これでは」
じっと様子を窺う。
こじれすぎたら介入できるように、念のため待機しているとしよう。
「自分はオリジナルの記憶を持っている。
だからオリジナルの起こしたことも、その結果なにが起きたかも
知っているくせに敢えて口を閉じて都合が悪くなれば
自分はオリジナルじゃないから、ですか。
よく回る頭と舌ですね、無茶苦茶だと言っていますが何故どうして
無茶苦茶だと思うかすら考えたこと無いでしょう。
人間以前に天使以前に、お前と言う個体が最悪な奴だと言う自覚が
全くもって存在していないのでしょうね」
「これが罪悪感の証左だと、反省と贖罪の手段だと
何もかもを容認すれば――敵意と憎悪の受け皿になると思いましたか」
「実際には捌け口にもなりやしない、ドブに捨てる方がまだマシ。
何をそれが当たり前だって面してるんですか。
何をそれが慈愛だって声出してるんですか。
今までの間に、どれだけ自分自身を正当化してるんですか?」
「本気なんだけれどもね。
……まあ、言う権利はないのも知っているよ。
イカれというのも当然だろう。
殺人犯が被害者に無茶苦茶な願望を吐いたというのが今だ」
「でも、困った事に僕自身が殺人犯ではない。
何故なら既に僕はルディではなく、『モモ』と定義されているため、オリジナルそのものではない。
だから君に協力を仰いでみた。
この島で過ごした短い時間で構築された僕としてね」
「まあ」
「……僕が言える事なんて、ここまでだからさ。
どんな罵詈雑言でも、受け付けるよ」